教えてワンコ先生!

「よく下痢をする」といった症状や、「最近毛並みがよくない」などといったトラブル。もしかしたらこれらのトラブル、実は腸内細菌のせいかもしれません。今回は腸内環境を正常に保つと言われるプロバイオティクスについて『ワンコ先生』こと、東京農業大学農学部バイオセラピー学科の准教授であり、「人と犬との共生」プログラムを提供している日本ドッグオーナーズアカデミーの学術顧問でもある増田宏司先生に伺いました。

増田宏司先生
増田宏司先生
獣医学博士・獣医師
東京農業大学農学部バイオセラピー学科准教授。日本ドッグオーナーズアカデミー学術顧問。また日本では数少ない動物行動学の専門家として知られている。著書には『犬の幸せ♡私の幸せ―ワンコ先生が教える動物行動学』(恒文社)などがある。

プロバイオティクスって何?

人間の乳酸菌飲料のCMなどでよく耳にする名前「善玉菌」と「悪玉菌」という言葉。実は犬の腸内にも善玉菌と悪玉菌がいます。善玉菌は犬の腸内で食物の消化と吸収を助けたり、免疫力の活性化、有害物質の分解、病原菌の感染防御、さらにはさまざまな臓器の機能活性化に役立つなど、健康維持に大きく貢献しています。一方、悪玉菌は身体に有害な毒素を作り出し、悪玉菌が大量に増えると病気や体調不良の原因になります。しかし悪玉菌が腸内にまったくいない状態が好ましいワケではありません。病原性を発しない少量の悪玉菌を善玉菌が封じ込めている状態がバランスの取れた状態であり、腸内にとってもっとも自然な状態なのです。しかしこのバランスはストレスや悪玉菌の過剰な摂取によって簡単に崩れてしまいます。その結果、下痢をしたり、毛並みが悪くなったり、皮膚トラブルを起こしたりといった症状を引き起こす場合があります。そこで善玉菌と悪玉菌のバランスを保つために役立つのがプロバイオティクスの存在。プロバイオティクスとは身体に良い影響を与える微生物=善玉菌を含んだ食品や製品の総称。身近な食品では納豆菌を含んだ納豆、ビフィズス菌を含んだヨーグルトなどもプロバイオティクスのひとつです。これらのプロバイオティクスを食餌に取り入れることによって、善玉菌の働きを助け、腸内細菌のバランスを保つことが大切なのです。最近では善玉菌を含んだプロバイオティクス・スプレーなども販売されているので、試してみるとよいでしょう。

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